Thinking about the decline in physical fitness among women in their 30s and 40s

「運動したくても、できない」

「30〜40代女性の体力低下傾向」という記事が載っていました。スポーツ庁の調査で、仕事と家事・育児に追われる世代の女性の体力が、25年ほどの間に低下傾向にあることが分かったという内容です。子育て中の家庭と接する児童委員として、他人事とは思えなかったので、紹介しながら考えてみたいと思います。

調査で分かったこと

記事によると、スポーツ庁が10月11日に公表した体力・運動能力調査の結果で、30〜40代の女性の体力が、2001年度から2025年度までの約25年間で、低下傾向にあることが分かりました。この年代では、スポーツクラブなどに所属する人の割合が下がり、週に1日以上運動する習慣のある人も減る傾向にありました。

この調査は、幅広い世代の体力や運動能力を把握するために毎年行われています。長座体前屈や20メートルシャトルランなどの結果を点数にした「体力合計点」を5段階で評価しており、今回は2025年度の結果と、2001年度以降の推移が分析されました。

2001年度を100%として推移を見ると、女性は2025年度までに、30代が96.3%、40代が93.6%まで低下しています。一方、男性は30代が102.2%と上昇し、40代は2018年度ごろまでおおむね横ばいだったものの、その後下がって、2025年度は98.8%でした。ほかの年代では、男女とも上昇傾向にあります。

専門家は、仕事と家事・育児を同時に担う女性に負担が集中し、運動への意欲があっても、時間やお金の面で踏み出せない人が一定数いるのではないかとみています。

「やる気がない」のではなく、「できない」のだと思う

運動習慣についても、確認できた数字があります。スポーツ庁の令和7年度の世論調査では、週に1日以上運動・スポーツをする人の割合は、女性全体の平均が49.0%でした。これに対して、30代の女性は40.3%、40代の女性は41.9%で、女性の年代別では、30代がもっとも低く、40代が2番目に低くなっています。

実は、この傾向は今回初めて指摘されたものではありません。2018年度の調査でも、女性の30代と40代で体力低下が目立つと報じられていました。長い間、同じ世代の女性が、運動する余裕を持てない状況に置かれ続けてきたということだと思います。

児童委員として、見えていること

新生児訪問や子育てサロンなどで出会うお母さんたちの姿を思い浮かべると、この数字は、実感に近いものがあります。子どもを預けられない、仕事と家事で一日が終わってしまう、自分のことは後回しになる。以前、産後クライシスの記事で、夫婦の間のすれ違いと、母親の「見えない疲れ」について書きましたが、体力の低下も、同じ根っこにある問題のように感じます。

運動は、単に体力をつけるためだけのものではありません。体を動かして気分を切り替える時間や、同じ立場の人と顔を合わせる時間は、子育て中の孤立を和らげることにもつながるはずです。それが持てない状況は、体力の問題であると同時に、暮らしの余裕の問題でもあると思います。

考えられること

では、地域でできることはあるでしょうか。参考になりそうな例を、いくつか調べてみました。

子どもを連れて、あるいは預けて参加できる運動の場。
大阪府堺市の北区では、20〜40代の子育て中の女性や、フルタイムで働く女性を対象にした運動教室を、年2回開いています。運動指導士による講義と実技に加えて、保健センターの専門職が、参加する子どもを対象にした健康教育を行い、保育の枠も設けられています。埼玉県毛呂山町では、2014年の報告資料に、保育を付けた母親向けの運動教室を開き、定員20人に対して、保育ボランティア5人を依頼した例が載っています。

保育の担い手を、地域で支えること。
毛呂山町の報告では、保育の安全面から1回の定員は20人が限度で、回数を増やせるかが課題とされていました。母親が運動できるかどうかは、子どもを安心して見てもらえる人がいるかどうかに左右される、ということだと思います。こうした場面で、地域の人手が加われば、実施できる回数や規模を広げられる可能性があります。

身近な場所で、短時間でも体を動かせる機会をつくること。
本格的な教室でなくても、子育てサロンの中で、ストレッチや体操を取り入れるだけでも、最初の一歩になるかもしれません。費用や時間のハードルを下げることが、鍵になりそうです。私の地域の子育てサロンでもヨガを開催していますが、毎回大人気です。

気をつけたいこと

ひとつ、気をつけたいと思うことがあります。それは、「運動しましょう」と呼びかけるだけでは、かえって負担になりかねない、ということです。ただでさえ時間のない中で、「運動不足を解消しなさい」と言われれば、プレッシャーになってしまう人もいるはずです。

体力の低下を、個人の努力不足にしてはいけないと思います。専門家が指摘するとおり、背景には、仕事と家事・育児の負担が女性に重くかかっている現実があります。運動の場をつくることと同時に、家事や育児の分担の見直しなど、暮らし全体の余裕をつくる視点も欠かせません。児童委員の立場では、運動の指導はできませんが、母親たちの疲れに気づき、使える場や制度につなぐことはできると考えています。

さいごに

「運動したくても、できない」という状況は、本人の意志の問題ではなく、社会の側の問題でもあります。子育て中の女性が、自分の体や気持ちのために使える時間を持てるように、地域の中でできることを、探していきたいと思います。


参考:共同通信配信記事「30~40代女性の体力低下傾向 家事・育児負担差影響か、スポ庁」(2026年10月11日)、スポーツ庁「令和7年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」、スポーツ庁・文部科学省の事業資料、堺市北区「美BODY講座」事業資料、埼玉県の事業報告資料を参考にしています。

Author: Health Watch Minute

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